引っかき硬度(鉛筆法)

参考資料 JIS K 5600-5-4

既知の硬さの鉛筆を塗膜に押しつけることで鉛筆硬度を測定し、塗膜が規定の硬さを有するかを確認する。

試験規格

JIS K 5600-5-4:1999 塗料一般試験方法
-第5部:塗膜の機械的性質 -第4節:引っかき硬度(鉛筆法)

試験内容

  1. 特殊な鉛筆けずり器を用い、鉛筆の ( しん ) が傷のない滑らかな円柱状になるように注意して木部を除き、芯を 5〜6mm露出させる(写真-1参照)。
  2. 鉛筆を垂直に保ち、90°の角度を保持しながら芯を研磨紙上にあてて前後に動かして、芯の先端を平らにする。
  3. 塗板を平らで堅固な水平面に置く。試験機器※1に鉛筆を取り付け、鉛筆の先端が塗膜に接するときに試験装置が水平になるような位置で止め具を締める。
    ※1)この試験は、手かき法で実施しても良いが、試験機器を用いることが望ましい。
  4. 鉛筆の先端が塗膜上に乗った後、直ちに装置を操作者から 0.5〜1mm/sの速度で離れるよう、少なくとも7mmの距離を押す。
  5. 肉眼で塗面を検査し、 圧痕 ( あつこん ) の種別を肉眼で調べる(図-1参照)。
    ・傷跡を生じないときは少なくとも長さ3mm以上の傷跡が生じるまで、硬度スケールを上げて上記2~4の操作を繰り返す。
    ・初めに傷跡が生じたときは、傷跡を生じなくなるまで、硬度スケールを下げて同様の操作を繰り返す。

[評価] 傷跡(塑性変形又は凝集破壊)を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度スケールを「鉛筆硬度」という。

試験片の形状(例)

試験片の寸法:50×50㎜以上、塗膜厚さ:総膜厚10µm以上※2
基材の種類:鋼板、フローリング材、ガラス板など
※2)膜厚が薄い試料(自動車用つや出しコーティング剤など)は試験実施が出来ない可能性があります。
上記以外の試験片につきましては、ご依頼前に当協会へお問い合わせください。

試験条件

①試験温度及び湿度
23±2°C,50±5%RH
②試験回数
試験は2回行い、2回の結果が1ランク以上異なるときは試験をやり直す。
③鉛筆の銘柄
三菱鉛筆㈱製 uni(日塗検検定品)
④鉛筆の硬度スケール
[軟←]6B・5B・4B・3B・2B・B・HB・F・H・2H・3H・4H・5H・6H[→硬]
⑤鉛筆の芯を調整するための研磨紙
#400の研磨紙
⑥鉛筆と塗膜層の角度
45±1°
⑦鉛筆の先端が塗面にかける荷重
750±10g

使用機器

〔例〕引っかき硬度試験機 Model 291(エリクセン社)

写真-1 加工後の鉛筆の芯先

三菱鉛筆uni(ユニ)の日塗検検定品は当協会にて販売しておりますので、 試験材料の案内よりご注文ください。